◇ 第1話

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◇ 第1話

     1  僕の一日は陽が高く昇るころになってようやく始まる。身支度をして、それから一階の調理場で朝ごはんの準備。  今日はオーソドックスに鮭の塩焼きだ。  昨日メニューに使って余った生鮭に軽く塩を振って、両面をしっかりと焼く。ひとつは朝食用、もうひとつは夜食用に。鮭を焼いているあいだも手は休めず味噌汁と副菜の準備する。味噌汁はわかめと葱でいいとして、副菜は常備菜としてストックしてある小松菜の煮浸しと、ごぼうのきんぴらでいいだろう。それと納豆があれば充分だ。あ、鮭に添える大根をおろすのを忘れてた。慌てて大根を取り出して、必要な分だけ切り分けると粗めのおろし金で大根を擦る。最後に冷凍保存してあったごはんをレンジにかければひと通りの作業は終了だ。  鮭を焼き終えたら適当に皿に盛り付けて僕は食卓につく。 「いただきます」  箸を手に取って、まずは鮭の身をほぐし大根おろしを添えて一口。  ――うん。おいしい。  脂も乗ってるし大根も辛すぎず、塩気もちょうどいい。  僕は満足しながら食事の箸を進める。     
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