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川口 4
色々と忙しくて、一カ月ほど猫カフェに行く時間を取れなかった。久しぶりに猫たちのもとを訪ねた川口は、もう一度あの若い女に会えるのではないかと少しばかり期待していた。
はたして、その女はいた。
川口は少し猫と戯れてから、女の近くに行った。
「あんた、よっぽど猫が好きなんだね」
「どうして?」
女が、前と同じ大きな目で川口を見た。
「この前もいたでしょ。この店によく来るの?」
「二回目です。私もあなたに対して同じことを考えていました」
女はにこりともせずに言った。
綺麗な顔立ちだが、あまり愛想はよくないから、客商売には向かないなと川口は思った。
「お気に入りの猫ちゃんは見つかった?」
川口が尋ねた。
「この黒い猫、かわいい。あなたのお気に入りの三毛猫もかわいいけど」
「この子はすごく性格がいい」
川口は抱いているミケを見ながら言った。そして続ける。
「この前、あそこにいる白い猫をかまっていたんだけど、フー、フーって怒るんだよ」
「フーフー?」
「よっぽど俺のことが嫌だったんだろうね」
それから川口は女と猫談議に花を咲かせた。帰り際に女の電話番号を聞き、SNSで友達になった。ついでに次は二人で食事をしてからこの店に来る約束までした。
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