川口 6

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 食事を終えて店を出ると、二人は猫カフェに向かって歩いた。 「涼しくて気持ちがいい。ちょっとそこの公園に寄っていきません?」  隣を歩く美紀が言った。 「構わんよ」  二人は木々の生い茂る大きな公園へと入っていった。 「私、猫が好きなせいか、静かな場所とか、外のこんな暗い場所とか、結構好きだったりするんです」  街灯がポツンポツンと灯る人気のない公園を二人は歩いた。近くの通りの喧騒が嘘のようだった。  こんな穏やかな気持ちで外を歩くなんて、今までにあっただろうかと川口は思った。空には星が瞬いているが、そのほとんどをうっそうと茂る木が覆い隠している。  不意に後ろでカチリという音がした。
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