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組員がもう一度レンガを振り上げた。
「お、おい、よせ!」
骨の砕ける鈍い音がした。
男の呼吸が止まる。そして痙攣するかのように息を吸い込む。
「警察には言うな。言ったら、指じゃない場所を使い物にならなくしてやるからな」
そう言うと、背広姿の中年のヤクザは、くるりと背を向けて歩き出した。
若い組員たちも男を離し、後に従う。
残された男は、激痛にその場を転げまわった。
組事務所の前で若い組員たちは車を降りた。
「おい、下島」
車を運転していた中年の男が、車の外に立つレンガを持った組員に声をかけた。
「ちゃんと処分しておけ」
「はい」
走り出す車を、組員たちは頭を下げて見送った。
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