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下島 1
下島は手にしたレンガを見つめた。いたって普通の赤レンガだ。つい先ほど人間の指を二本潰した痕跡は見当たらない。少なくとも自分が見た限りは。
「俺はこいつを処分しに行くからよ。そのまま今日は帰るわ。あと、頼むぜ」
下島より年下の二人の組員に言ってから、レンガをジャンパーのポケットに入れ、組事務所に寄らずにそのまま歩き出した。ジャンパーの内側にはレンガを入れるための大きなポケットが縫い付けてあった。
「お疲れさんでした」
若い組員が下島の背中に言った。
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