第1章

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「君のために生きたから、僕のために死んでくれ」  愛してた。  それは間違いなく真実で、ともすれば永遠だった。  でも残念なことに俺は自らが口にした「永遠の愛」とやらを完遂出来なかった。  賞味期限は百年です! と言いながら、密閉方法か何かに問題があったらしい。気がついたら賞味期限はとっくに切れていて、愛は腐って毒に変わっていた。  本当に残念だ。無念だ。でもまぁ仕方ないよね。世の中そんなもんだよね。  まぁとにもかくにも、俺は彼女をブッ殺すことにした。  どっから話そうか? 俺……高田翔太の生い立ちから? それとも彼女、岩井美貴との出会いから? でもその辺の話しはすごく普通のストーリーだから、長々語るのも退屈なんだよね。まぁダイジェストで送ろう。  高田翔太。前科無し。普通に生きて、そこそこ真面目に生きて、色々やってきたけど今は大学生をしている。  岩井美貴。優しくて可愛くて、ちょっぴり年上の会社員。  俺達は洒落たバーで出会った。友人と一緒に飲んでいて、その隣りの席に座ってたのが美貴だった。  ベロベロだったから何て話しかけたかは覚えてない。  とにかくヤることヤって、ホテルで目が覚めて、連絡先を交換せずに別れた。まぁよくある話しさ。  んで運命的に、とまでは言わないけれど、数日後に偶然俺達は街中で再会して、たまたま時間が空いてたから飯を食って、ハンパに酔ったまま、つまりちゃんと記憶を保ったままヤることヤって、連絡先を交換したわけだ。  最初は遊びだった。大人の遊びだ。優雅にエスコートして、泥臭くて汗臭いプレイをして、彼女が可愛らしいいびきをかいている内にこっそりと帰宅する遊び。  だけど繰り返す内に、俺は美貴の内面に引かれていった。  良い女だった。自分をしっかりと持っていて、欲しいものよりも必要なものを優先するような女だった。ガキには絶対に習得できない、セックスアピール抜きの色気が美貴にはあった。  しかし、彼女は年上だけど、性行為においてはまるで高校生みたいにウブだった。曰く、あまり経験が無いらしい。 「真面目に勉強して、そのまま就職して、ずっと働いてきたわ。男の人と遊んだりする機会はあっても、それを必要な事だとは思ってこなかったのよ」 「っていう割には、俺の誘いにあっさりと乗ったよね」 「……これでも一応は年上だからね。余裕があるところを見せたかったの」
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