十六夜の月の下

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ため息しか出て来ない。 仕事しよう。 何も考えないで数を数える事に集中する。 でも、お客様から電話が来ては課長のいない事の大変な事を思い出させられる。 もっと、私がファッションについて才能があればもっと助けてあげられたんだよね。 でも、私には残念ながらその才能が無い。 小さな会社だけど、でも才能が物を言う。 どうしたら良いの? やっぱり小阪さんの言う通り勉強が必要だよね。 でも、私には無理!! 課長のバカ!! 役に立たない私にもバカ!! 泣きたくなった時後ろにある裏口から小さな悲鳴にも似た 叫び声がいくつか聞こえて来た。 振り向こうとして横に顔を向けると何も見えない。 !! あれ? 『花木お待たせ。』 フランス語が上から? 課長!! 上を見上げると私の机の上の伝票に目を通しているのが見える。 思わず目の前の課長の体に抱きついてしまった。
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