十六夜の月の下

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「花木。すっごく嬉しいけど、部長に呼ばれたから離してもらっても良いか?」 優しく話す課長の言葉で自分が何をしているのか気が付いて慌てて離れ 「すいません。」 と謝ったけど、恥ずかしくて顔を上げられない。 課長は私の頭にそっと手を置き 「仕事手伝うからな。」 一言言うとその場を離れた。 頬を涙が伝っている事に気がついて慌てて拭う。 斜め前から睨まれている事は分かったけどどうでも良かった。 仕事が出来ることが嬉しいと思った。 ・・・課長と一緒に・・・。 「小阪さん睨んでないで仕事しなさい。 花木さん頑張ってたから、良かったわね。」 畠野さんの言葉に涙が溢れてそのまま頷き返すしか出来無かった。 でも、会社だから泣いてる場合じゃない。 私はポケットから慌ててハンカチを出すと拭き取って。 仕事を始める。 しばらくすると課長は戻って来て 「花木出来たの持っていくから伝票切ってくれる?」 「はい」 と返事をして荷造りをして出来た順番に伝票を切っていく。 「よし」 と一言だけ言うと課長は何時もの様に出かけて行った。 これで、大丈夫と思った。
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