十六夜の月の下

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課長に甘えてしまいそうになる。 もっとしっかりしなくては。 「役に立っていません。」 口をついて出て来たのは、この言葉。 「明日から展示会の準備追い込むからな。」 あー そうだった。 せっかく忘れていたのに。 「招待状は課長の許可を頂くだけにしてありますが、 その他は全然です。 招待状でも、精一杯だったのにそれ以上は無理です。 いっそ小阪さんに頼んだ方が良いんじゃないですか?」 課長は深いため息を一つ着くと 『フィリップの通訳していた方が楽しいか?』 いきなりフランス語で訳の分からない質問? 「あの、今日課長がフランス語で電話して来た時 フィリップさんからだと思って焦りました。 彼専門的な事ばかり言ってくるので、課長が 居なかったので、分からない専門用語だったら どうしようと焦ったんです。」 「そっか」 鼻で笑った? 「そうそう、さっき洋から電話が来て花木を心配してたぞ。 で、俺のせいだから花木何時でも飲みに来てつけて帰る様に言えだと。 了承しといたから。」 は? なんか逆に面倒な気がするけど。 「所で、花木今回の事で仕事嫌になったか?」 もともと畑違いの世界だから好きとか嫌いとかよりもやる気が出るか出ないかの方が正しいと思う。 「課長はどうなんですか? 会社辞めるんですよね。」 「未定」 何その回答!! 「花木、未定だから決めてない。 先ずは迷惑掛けた事を取り戻さないと、 別の所へ行ったとしても、長続きしないからな。」 そうなんだ。 「花木ありがとうな。」 課長そう言うと切った。 こんなに感謝してくれるなんて思いもしなかった。 課長のバカ!!って心の中で叫んでしまってごめんなさい。 スマホに向かって頭を静かに下げた。
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