十六夜の月の下

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フィリップさんの通訳か。 課長に頼み込んだらさせてもらえるのかな? でも、もっともっとこの世界のこと知らないと無理かも。 未定って言ってたからすぐじゃ無いよね。 もう少し課長から勉強させてもらえるのかな? さっきの電話変に機嫌良かったけど何かあった? 今までなら飲みに連れてってやるだったのに つけで飲んで良いぞって何だかよそよそしく感じたし。 どう接したら良いのかますます分からなくなった。 ソファーに座ってそのままゴロンと横になった。 目の前のテーブルにスマホを置こうと手を伸ばした途端 再びバイブで震えだし慌てて目の前に戻す。 咲子だ!! フィリップさんと居酒屋で会った以来だ。 「もしもし。」 「杏?!」 「うん」 久しぶりの咲子は大学と同じに思えた。 人前だと何時も格好をつけて、 私の名前を呼び名では無く正式な名前で呼ぶ。 フィリップさんと一緒の時も格好をつけて呼んで居た。 「もう!!あんたの彼氏何者?」 「は?」 勢い凄い。 何? 「は?じゃ無いわよ。この前居酒屋で一緒だったじゃ無い!!」 やっぱり課長の事ね。 「上司だから。」 「あーんもう!!どっちでも良いけど、 何で彼がフィリップと一緒にいる訳?!」 フィリップと一緒? 「2ヶ月程前にいきなり契約破棄されちゃって、 上得意様だったので会社から 大目玉もらっちゃって大変だったのよ!!」 突然契約破棄?! すごっ!!! やっぱし彼は相当勉強しないと難しいのね。 「たまたま行ったファッションビルであんたの彼が通訳してたのよ。」 あらららら、課長見つかっちゃいましたか。 でも、私じゃなくて良かった。
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