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糸操り人形
ああ、美しいじゃないか。
元華族のご令嬢だった君が、いっそ清々しい程に下品な紅を引き、肌を露出させたドレスを纏って舞台で歌う。
汚れた君と煌びやかな舞台。
いやらしい視線が君に絡みついて、君の表情は嫌悪で満たされるんだ。
ああ、いいじゃないか。
その憎しみが込められた視線。
そんなに睨んだって君は逃れられない。
君は糸操り人形だ。君の華奢な身体に繋がれた無数の糸は、どうやったって切れやしないよ。
さぁ、愉しませてくれないか。
気の強い君が絶望し敗北を認めるその瞬間まで。
君の美しさを永遠にするために、時を止めようじゃないか!
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