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突然はっきりとした声が聞こえた。
そこそこ歳の言った男性の声のようで、僕は幻聴か何かかな? それともゲーム内のイベントの声かなと思ったが、ゲームにはそのような表示は何もない。
だから何かの効き間違えだろうと僕は解釈した。と、
「……汝、名前を告げよ」
「いえいえ、知らない人に名前を聞かれても答えるわけがないじゃないですか」
僕はつい、真面目に答えてしまった。
また同じような声が聞こえて、そこでゲームに気を取られていたのでそんな風によく考えずに返事をしてしまったのだ。
それがいけなかったのかもしれない。
すぐに其の問いかける声が、
「あ! 声が届いているみたいですぞ、よし、ではお名前をお願いします」
名前を聞いてきた。
名前を教えると何か良くないことがあったりするのだろうか?
でも答えないと、何かひどい目に合わせられるのも嫌だなと思ったし、これが受け答えできているわけではないのが分かれば幻聴だと判断できる。
だから僕は試しに、適当な名前を言うことに。
「……幹(みき)です」
「……嘘ですな」
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