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そこで声が、芽衣の名前を聞く。
きっと止めた方が良いよと僕が芽衣に言うと、楽しそうに笑い、
「こんな面白そうな事、ここで止めるのなんて僕は嫌だよ。というわけで、奥野芽衣です」
「では、奥野芽衣、高瀬侑希、両者を我々の世界に招待しましょう。あ、きちんと戻る方法もありますのでご安心ください、神子様方」
その声がそう告げるとともに、僕達の足元に二つの円陣が浮かび上がる。
僕の足元には金色、そして芽衣の足元には銀色の魔法陣の様な物が浮かび上がり、そこから光り輝く花びらの様な物が幾つも浮かび上がっていく。
その眩しさに僕はつい瞳を閉じてしまう。
そんな超常現象に巻き込まれた僕だけれど、ふと脳裏に昔あったあの子の事が頭に浮かぶ。
もしかしたなら、また会えるだろうか。
わずかな期待が僕の中で浮かぶ。
そこで僕は、光の中で意識を失いそうになるけれど、
「ふ、ふええぇ、やぁああっ、何?」
体中を、僕を包む光がまさぐっている。
まるで僕という獲物の味見をするかのように体に触れる。
続々とした快感が僕の中に生まれるけれど、それが嫌でじたばたする。
「やだ、やめて、こんなの嫌、助けてっ、アルベール」
ふと、懐かしい名前を呼んで助けを求めてしまう。
そんな言葉で助けてもらえるなんて思えなかったけれど、体をいじるその手は嫌で堪らなくて。
そこで、声がした。
「ユキ?」
不思議そうな男性の声。
そして僕は、その声に引き寄せられるように、何処かに引きずり出されるのを感じたのだった。
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