彼に連れて行ってもらうことに

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 とのことだがどんな魔法が使えるのかすら僕は何も分からない。  そう困惑しているの目の前の彼が、 「ああ、そういえば癒しの力を使う者もいたから、抵抗は出来ないかもしれないな。それでその魔法の力は異世界では使えないが、この世界では使えるものなのだと聞いたことがある。だから分からないのか」 「そんな魔法が……この世界で使えるようになる魔法、どんなものだろう?」 「……固有のものでなければ、そういえば異世界人に共通して使える魔法が確かあったはず。……その内の一つが、言語の会話能力。他にも異世界から来た人間には不思議な力があって、この世界のどんな毒も効かず、病気にもならないらしい。ただ魔法に近い魔法薬では、幾つか効果が認められているそうだ」  どうやら言語翻訳能力と、身体能力の強化が異世界人には自動でついてくるらしい。  それを聞きながら僕は、 「そうなんだ……知らなかった。そういえばこの世界に来ると特典がついてくると言っていたような……」 「恐らくはそれだろう。それにその力があれば、使いようによっては"魔物"も倒せるだろうし自分を守れるだろう。今、試しに使ってみるといい」 「う、うん、魔物ってどんなもの?」  それに目の前の男は沈黙する。  何でだろうと僕が思っていると、その男は口を開く。 「色々なタイプがいるから、一概にどんなとはいえないな。危険なものからあまり危険でないものまで沢山あるからな」 「そ、そうなんだ。でも魔法なんてどんな風に使えばいいのか……」 「お前の世界で一番身近にある魔法はなんだ?」  そう聞かれて真っ先に僕の頭に浮かんだのは、ゲームだった。  二次元世界でしか僕は魔法なんて見たことがない。  それ以外に存在するかどうかなんて……科学文明に毒された僕は、何らかのトリックがあるだけでは? としか思えない。  だから一番身近なゲームの選択画面が脳裏に浮かぶ。  そのゲームの選択画面から、それか魔法を選んでぽちっと。  そこで、ぶんっと重低音が聞こえる。
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