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夢の中でこれは夢だ、と気付く事は時々あったので違和感はなかった。
とはいえ夢にしては感覚が現実的で不思議だなと僕は思う。
僕の頬を薙ぐ風は温かく、濃い緑色の葉からは木々の緑の匂いがする。
ふわりと、風が凪いで僕の目の前に白い花の花弁が一枚舞う。
温かい時期に雪が降ってきたのかと思うほどに白い花弁。
何となく目で追うと、その花びらが飛んで行った先に一人の子供がいるのに気づく。
眩い明るい金髪の子供。
陽の光の中で、キラキラと輝くそれを見ながら、髪が短いので男の子かなと僕は思う。
体を丸めて何をしているんだろうと思って僕は近づくと、草を踏みしめる音で気づいたのかもしれない。
はっとしたように顔をあげてその子は、
「誰?」
怯えるように呟いて振り返る。
そこで僕と目が合った。
青く淡い、空色の瞳。
その瞳が涙でうるんでいる。
性別が分からなくなるくらいに綺麗な子供で、こんな子、僕、今まで見た事がなかった。
女の子かな、男の子かな? 女の子だと良いな、そう僕は思いながら僕は安心させるように微笑んで、
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