忘れた出会い

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「初めまして、僕は、高瀬侑希(たかせゆき)」 「タカセユキ? ……この辺りの人じゃないの?」 「多分。僕は、日本という国で生まれたんだ」 「ニホン? 知らない。……君は不思議な服を着ているから、精霊なのかな?」 「精霊? この世界にはそんなのがいるんだ」  ファンタジーのような異世界の設定の夢なのかなと僕は思う。  そこで僕の方をその子がじっと見て、 「タカセユキ? だよね」 「ユキでいいよ。皆そう呼んでいるし。あ、そうだ、君の名前は何ていうの?」  僕が首をかしげて聞くと、その子は頬を朱に染めて、 「僕は、アルベール。……僕の名前を知らないって事は、僕が“怖く”無いんだよね?」 「? “怖い”? なんで? こんなに可愛いのに……もしかして女の子?」  きている服装は少年めいているけれど、アルベールは女の子なのかなと期待をして僕は聞いてみる。  途端、アルベールの機嫌が目に見えて悪くなった。  むっとしたように頬を膨らませて、 「僕は男だ! ユキこそ女の子みたいな可愛い顔をしているくせに、僕を男と間違えるなんて……ひょっとしてユキは女の子?」 「! 違うよ、どうして僕が女の子なんだ! 背だってアルベールよりもあるし!」 「……背なんてその内、ユキなんか追い越すから良いんだ!」 「じゃあ、背なんてもっと僕は大きくなってやる」 「ずるい、だったら僕はもっと大きくなってやる!」
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