105人が本棚に入れています
本棚に追加
「初めまして、僕は、高瀬侑希(たかせゆき)」
「タカセユキ? ……この辺りの人じゃないの?」
「多分。僕は、日本という国で生まれたんだ」
「ニホン? 知らない。……君は不思議な服を着ているから、精霊なのかな?」
「精霊? この世界にはそんなのがいるんだ」
ファンタジーのような異世界の設定の夢なのかなと僕は思う。
そこで僕の方をその子がじっと見て、
「タカセユキ? だよね」
「ユキでいいよ。皆そう呼んでいるし。あ、そうだ、君の名前は何ていうの?」
僕が首をかしげて聞くと、その子は頬を朱に染めて、
「僕は、アルベール。……僕の名前を知らないって事は、僕が“怖く”無いんだよね?」
「? “怖い”? なんで? こんなに可愛いのに……もしかして女の子?」
きている服装は少年めいているけれど、アルベールは女の子なのかなと期待をして僕は聞いてみる。
途端、アルベールの機嫌が目に見えて悪くなった。
むっとしたように頬を膨らませて、
「僕は男だ! ユキこそ女の子みたいな可愛い顔をしているくせに、僕を男と間違えるなんて……ひょっとしてユキは女の子?」
「! 違うよ、どうして僕が女の子なんだ! 背だってアルベールよりもあるし!」
「……背なんてその内、ユキなんか追い越すから良いんだ!」
「じゃあ、背なんてもっと僕は大きくなってやる」
「ずるい、だったら僕はもっと大きくなってやる!」
最初のコメントを投稿しよう!