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お互い一歩も譲らない戦いだけれどそこで、僕は吹き出して笑った。
それにアルベールもおかしくて堪らないと言ったように笑いだす。
「あははは、でも絶対にその内追い越してやるから」
「あはは、望む所だ。それで、えっと……」
僕は考える。
ここは夢の中の世界。
だからこんな風に言うのは変かもしれないけれど、
「あのね、アルベール、僕の友達になって欲しいんだ」
「……友達?」
不思議そうに首をかしげて、友達という言葉を反芻するアルベール。それに僕は、
「嫌? 僕は、アルベールと友達になりたいって思ったのだけれど」
男の子とはいえ、こんなに綺麗で可愛い子と友達になれたら楽しいだろうなと思ったのだ。
それに何だかこのアルベール、とても寂しそうだったし。
そしてその問いかけにアルベールは大きく目を見開いて、すぐに満面の笑みで、
「うん、僕もユキと友達になりたい」
それが、僕達が友達になった切掛けだった。
話している内に、歳は同じだとか、好きな食べ物はとか色々なことをお互い知った。
共通点がないようであったり、それが僕には嬉しい。
そして夢の中の世界だと思っていたけれど、何となく違うような気がして、そして僕は何度も何度もアルベールと会って遊んだ。
でもある時、突然終わりがやってきた。
「ユキ、ごめん。僕、ユキを……呼んでしまったかも」
「? アルベール? 何を言っているのか分からないよ?」
出会った時の様に悲しそうに、瞳に涙をためてアルベールは僕に言う。
でも理由は聞いてもかたくなに話そうとせず、そして、
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