忘れた出会い

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「僕、ユキの事が好きだったんだ」 「僕もアルベールが好きだよ。でも何でそんな風に、お別れの言葉みたいに言うの?」  もう二度と会えないような、そんな不安を感じて僕が聞くとアルベールは泣きながら頬笑み、そして僕に近づいてきて頬にキスをする。  突然のアルベールの行動に僕が驚いていると、 「ユキ、大好き。だから……もう僕の前に現れないで。きっと、傷つけてしまうから」 「アルベール?」  僕はそう名前を呼ぶと彼は頬笑み、手を振った。  何でと思って僕はアルベールに近づこうとするけれど、その距離はどんどん遠くなる。  それでも僕はアルベールと離れたくなくて手を伸ばすけれど……そこで僕は、目を覚ました。  どうやらベッドから転げ落ちてしまったらしい。 「アルベール?」  名前を呟くけれど、もちろん答えはない。  そしてそれ以降僕は、夢の中で彼に出会う事はなかったのだった。
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