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懐かしい夢を見たから僕は、そんな事を友達に話してしまったのかもしれない。
昔見たその夢がずっと忘れられなくて、でも、あの後は一度も見ることが出来なくて。
思い出すかのようにその光景が今更ながら、夢といった形で現れたのには何か意味があるのか?
僕がそうであってほしいと思っているのかもしれない。
そんな悩みが僕の中にあったからか、誰かにその話を聞いて欲しかったのだろう。
だから友達に話してしまった。
それに僕の友達である芽衣は、携帯ゲーム機から顔をあげずに、
「ふーん、昔、そんな不思議な事があったんだ」
「うん、芽衣にはさ、ほら、一番の親友だから話しておこうかなって思って」
「でもさ、僕、侑希の小学校の頃からの幼馴染でしょう? それで今、僕達は大学生なわけだ」
「……大事にしておきたい思い出だったんだ。自分だけの宝物にしたかったっていうか……他の人に話したら、記憶が薄くなってしまう気がして話せなかったんだ」
あの時、出会った金髪の少年はとても可愛くて、女の子なんて目じゃないくらい綺麗だったのだ。
そして僕がやってくると、とても嬉しそうで。
けれど……最後は、とても悲しそうな顔をして別れを告げたのだ。
どうしてそんな顔をするのかを問いかけても、彼は答えなかった。
そのすぐ後に目を覚ましたけれど、あれが全てただの夢であったと僕は思えなかったのだ。
否、僕は思いたくなかったのかもしれない。
だって、今になっても鮮明に覚えていて、もう一度あの子に僕は会いたいと思っているのだから。そんな僕に、芽衣は、
「まるで、恋をしているみたいに聞こえるね」
「そうなのかな……未だに彼女が出来ないのも、彼の事が忘れられないからなのかな」
「いや、それはただ単に、侑希が童顔で女の子みたいな顔だからだと思う」
芽衣が即座に僕の言葉を否定して、そこでゲームの必殺技を繰り出した。
現在二人で出来るゲームを僕の部屋でやっていたのだ。
こういった会話をしながらも容赦のない攻撃を繰り出す芽衣。
我が相手に不足なし、と思いつつ、必殺技を繰り出して攻撃したにもかかわらず、顔も上げずにゲーム画面を見つめたまま告げた芽衣に僕は、
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