第一章

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「は…はっきり言うかね! ちょっとは優しくしろ!馬鹿!鬼!」 「話を聞いてやってるだけ優しいと思え。」 「うっ、まぁ確かに…。」 「それにそんな奴だと分かってて幼馴染やってると思ってたんだが?」 「分かってるよ! でもこう言う時ぐらいよー…。」 「で、それからどうなったんだよ? その様子じゃ何もしてねぇんだろうが。」 「うっ…。」 「図星じゃねぇか…。」 呆れ顔でため息を吐かれる。 「だって一年も付き合ってたんだぜ!? 喧嘩して、そんなあっさり終わる訳なくね!? だから寂しくなってその内謝りに来るだろうなぁって、思ってたら。」 「…思ってたら?」 「一週間が経ってたって言う。」 そう言うとヤスはそれをさも最初から分かってたかのようにまたさっきよりも深いため息を吐いた。 「…その間お前から会いに行ったりとかは?」 「いや、なんて言うかさ…。 二年になってクラスも違うし…? 頻繁に顔を合わせる事も無くなったし? 喧嘩した後だから気まずくて行き辛いと言いますか…。」 「あほか、今すぐ行け。 そんで謝ってこい。」 「…え?いやいやいやいや! そんな別に大それた事じゃないだろ、あんな喧嘩なんて!」 「そんなの分かんねぇだろ。 お前がそう思ってても相手にとっては違うかもしれねぇだろうが。」 「うっ……。 いや…そりゃあるかもしれないけどさ。 でも今まで一度も喧嘩なんてした事無かったんだぜ…? あれぐらいなら別に…。」 「別に…?」 「……………大丈夫かなー…。」 聞き返されて不安になる。 「ほら見ろ。」 「いや、でも…。」 「言い訳ばっかしてねぇで、いい加減認めろ。 お前はまだ現実を見れてねぇし、見ようともしてない。 言い訳して、それで良い理由を探してるだけだ。」 「うっ…。」 「さっさと行け。 自分の目でちゃんと今の状況を見てこい。」 「わ…分かったよ。」
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