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「い…いや、でも…佐藤君は大事な友達だから…。」
そう言うと、恵美ちゃんは私から手を離した。
そのまま頭を抱えて思いっきりため息を吐く。
「ご、ごめん…ね。」
「静、私はね。
あんたから電話で新しい友達が出来たって聞いた時には安心したんだよ。
最初は学校が別々になるし、一人で大丈夫かなぁ…って思ってたけど…。
なんだ、上手くやれてるじゃんって。」
「う…うん。」
「でもそうは言ってもさ…。
やっぱり心配なのよ…あんたの事が。
もしまたいじめられてたり、変な奴らに絡まれてたりとかしたらどうしようとか思うの!」
そう言う表情は真剣その物で、悲痛とさえ思えた。
「うっ…うん…ありがとう。」
「何よ、良い幼馴染がいるじゃない。」
そんな私達を見て、摩耶ちゃんはなんだかちょっと拗ねていた。
「でも、佐藤君はそんなに悪い人じゃないような気がするの。」
恵美ちゃんが心配してくれるのは素直に嬉しい。
でも私にとってはやっぱり佐藤君だって大事な友達の一人だから。
やっぱり友達としてちゃんと信じたいと思う。
だからいくら大事に思ってる恵美ちゃんに言われてもそれは譲れない。
そう思って言ったのだが、またため息を吐かれた。
「相変わらず甘いんだから。
だから心配になるの!」
「ご、ごめんね。」
「良いよ、あんたがそう言う子だってよく知ってるし。
一度言い出したら聞かない事もね。」
「う、うん。」
「でもこれだけは約束してよね。」
「え?」
「次に何かあったら必ずすぐに連絡する事!
昨日みたいに終わった後になってやっと教える、なんて事があったら今度は絶対に許さないから!
分かった!?」
「う、うん。」
やっぱり恵美ちゃんには敵わないなぁ…。
この日改めて思った。
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