第二章

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「と言うか…今更のように今更の質問なんですが。」 「何よ?」 「なんで俺はさも当然のように高橋さんと小池さんの荷物を持たされてんの…?」 そう…今俺は背中に自分のリュック、両肩には二人のそれぞれのリュックのがかけられ、班のメンバーの後ろからフラフラとついてく形になっている。 「ふん!自業自得よ!」 「ごめんね、佐藤君。」 68b00be2-f19b-47d6-a935-4c0b466e6710 そう口では謝りつつもけして自分の荷物を引き取ろうとはしない高橋さんって実はSなんじゃ…。 「やれやれ…。 良いように使われてんな。」 などと思っていると、涼しい顔で前を歩いていたヤスが呆れ顔でため息を吐きながら言ってくる。 「お前はせめて同情しろ…。 そして手伝え。」 「断る。」 後ろから恨めしく睨み付けながら皮肉を言ってやるも、あっさり切り捨てられた。 「いや即答かよ!」 「ま、せっかく与えられた使命なんだ。 四の五の言わずに働いてな。」 「こいつは…!」 とは言え一番余裕そうにしてるこいつを除けば、足場の悪さに難儀している小池さんとその手を引く高橋さんはどちらも荷物を持てるような感じではない。 くそ、こいつも持ってくれてればまだ仕方ないって納得出来たのに…。 引き続き思いっきり睨み付けてやるも、知らん顔でさっさと前を歩いていく。 「喉乾いたー。 佐藤ーお茶出すー。」 と、小池さん。 くそう…本当に良いように使いやがって…。 「なんなら俺の荷物も持たせてやろうか?」 「それはマジでいらない!」
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