第二章

6/42
前へ
/193ページ
次へ
2 何とか無事に山頂にたどり着く。 とは言え、だからのんびり休憩と言う訳にはいかない。 実行委員の俺と高橋さんには、クラスメイトに弁当とペットボトルのお茶を配ると言う仕事があるから…なのだが…。 合計三人分の荷物を持ったせいで既に俺はフラフラ。 それに気を使ってくれてか、今は高橋さんが率先して働いてくれていてる。 「よぉ、ご苦労さん。」 などと澄ました顔で言ってくるヤスにはペットボトルを顔面にぶつけてやろうかと思ったがやめておいた。 一方の小池さんは登り切った達成感で満足そうに伸びをしている。 「案外大した事ないわね!」 「そう言う台詞は自分で荷物を持ってから言えよな…。」 そんな俺のぼやきなど、何処吹く風。 澄ました顔で聞き流して、さっさと弁当を食べ始めた。 くそぅ…! 「やっぱりこうやって皆で何かをするのって楽しいね! 佐藤君はどう? ちゃんと楽しんでる?」 高橋さん…そんな満面な笑顔で言われたら頷くしかないじゃないか。 畜生、一々可愛いな…。 「う…うん、まぁね。」 とは言え結構疲れはしたが、実際こうして新しいメンバーで一緒に行動する時間を純粋に楽しんでるのは確かだ。 あいつも楽しんでるのかなぁ。 不意に考えてしまう。 「何…?あんたってMなの…?」 などと考えていると、小池さんが呆れた表情で急にそんな事を聞いてきた。 「いや、違うわ!」 「ならやっぱり俺の荷物も持てば良かったのにな。」 「お前なぁ…。」 やっぱりさっきペットボトルをぶつけてやれば良かった。 「まぁ、一応冗談だ。 」 「お前が言うと冗談に聞こえない! それに一応かよ!」 「あー、あんたらSとMだから仲良い訳ね…。」 そんな俺達のやり取りにため息を吐きながら口を挟む小池さん。 「話を一々そっち方面に持って行くな!」 「ふふふ。」 それを笑って眺めてるだけで止めようとはしない高橋さんはやっぱりSな気がする。 「ちなみに最初に話をそっち方面に持って行ったのはお前だからな?」 「だからお前心読めんのかよ…?」 鋭過ぎてたまに本気で怖くなるんだが…。 まぁ良いや…。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加