第二章

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「高橋さん、そっち終わった?」 「こっちは全部集めたよ!」 全員があらかた弁当を食べ終わると、男子からは俺、女子からは高橋さんで分担して弁当のゴミを集める。 それを纏めてから、担当の先生に渡せばとりあえずはこの場での仕事は終わりだ。 「よーし、全員食い終わったかー? そろそろ出発するぞー!」 ようやくそれぞれ集め終わって一息吐いていたところで、先導する教師が叫ぶ。 「えー!もう降りるのかよー!?」 「もう少し休ませろよー!」 それに所々からブーイングの嵐が聞こえる。 ちなみに勿論俺もブーイングをあげてる側だ。 冗談じゃない…。 やっと今仕事が終わったところなのに…。 「えーい!やかましい! ゆっくりでも良いからつべこべ言わずに降りろー!」 でも異論は認められないみたいだ…。 仕方なく俺達は下山を始める為の準備に取りかかる。 「せっかく落ち着いてたのに…。 まぁ良いわ。 はい、また宜しく!」 ぼやきながらも、またさも当然のように自分のリュックを押し付けてくる小池さん。 「ごめんね、佐藤君。」 そして同じく遠慮がちにリュックを差し出してくる高橋さん。 「あー、俺のも。」 「お前は持て!」 うーんそれにしても謝りつつも持たせる辺りやっぱり高橋さんはSっぽいよな…。 身軽な二人は先々前を歩き始める。 「お前、すっかりパシリだな…。」 取り残される俺の横で、ヤスは呆れ顔でそんな事を言ってくる。 「お前もちょっとは手伝えよな…。」 「だから断るって言ったろ?」 「また即答かよ…。」 「まぁ、合宿の間中ずっと小池とギクシャクしてるよりは良いだろうが。」 「うっ…まぁそれはそうだけど…。」 そう言われると言い返せない…。 実際ヤスが何か言ってくれてなかったら多分そのままだったんだろうし頭が上がらないのはあるが…くそぅ…。 「ま、そう言うこった。 しっかり働けよ。」 とは言え…どうも上手く言いくるめられてる気がしてならないんだよなぁ…。
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