第二章

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「やっぱり登るよりは降る方が楽よね。」 「そうだね。 でも足元が悪いから転けないようにね?」 余裕な表情の小池さんに、その手を引く高橋さんが声をかける。 こうやって見るとちょっと仲の良い姉妹に見えなくもない。 いや、やめておこう…。 今不意討ちで鳩尾に正拳突きなんてされたら本気でシャレにならん…。 「大丈夫だってー!…っとっと!」 一方の小池さんは高橋さんの気遣いも虚しく、早速転けそうになっている。 「どんぐりころころ。」 さっきは我慢出来たのだが、それを見て思わず吹き出しそうになった。 「誰がどんぐりよ!? こいつむかつく!パシリの癖に!」 「パシリって言った!今パシリって言った!!」 「言ったわよ!悪い!?」 「悪いわ!」 「子供の喧嘩かよ…。」 ヤスが頭を掻きながらめんどくさそうにぼやく。 「まぁまぁ、二人共…。」 「高橋、しっかり支えといてやれよ。 こんな場所で本当にどんぐりころころになったらシャレにならねぇからな。」 「あんたまで言うか!」 「あ?言ったっけかな?」 「ムキー!」
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