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 ふたりともダークスーツを纏って強面だ。  一般人なら慄いてしまう容姿の彼らと接することに慣れている庸介は、発進する車内、くつろいだ微笑さえ浮かべた。 「ありがとう。迎えに来てくれて」 「気にしないでください、若頭の都合で、庸介さんの部活を中断させてすみません」 「べつにいい、慣れてる」  庸介はかたわらに荷物を置き、椅子に深くもたれる。空調の効いた車内は心地いい。  気になっていることを尋ねてみる。 「……ところで、柾貴(まさき)はどうしてこんなに早くから飲んでるんだ」 「相手の都合にあわせてだと思います。ホストクラブのオーナーで、新店のオープンも控えていて、なにかと忙しいみたいですから、彼の隙間時間に」 「へぇ……」  興味なく頷く庸介だった。  窓の外は、歓楽街へと差しかかっていく。陽が落ちきっていないため、柾貴に拾われてから幾度となく連れられている夜の繁華街とは違う印象を受ける。  ちらほらと立ちはじめたばかりの飲み屋の呼びこみ。水商売系の男女がそれぞれのお客らしき人間と歩く同伴出勤の光景。  注文の酒を搬入している業者や、イベントを彩る花屋の配達も見かけられる。     
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