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 それこそ、好きな本を好きなだけ読んでいられるような、安らげる場所にする。  気づけば熱く語ってしまい、庸介はベーコンレタスバーガーを平らげていた。  ほとんど食が進んでいない綾世はハッとする。 「ごめん、ついつい、楽しくて話しすぎちゃったよ……」 「すごくいい店になるんだなって、聞いてるだけで分かった。楽しみだな」  庸介は感心したように頷く。 「喫茶店なら、ホストに興味ない……っつーか、未成年の俺でも入れる。オープンしたら行く」 「庸介くんにそう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう……だけどお店に来たら、僕と仲良くしてること、柾貴さんにばれないかな?」 「心配しなくていい。そこらへんは俺が上手くごまかす」  庸介はチキンフィレオにかぶりつき、もぐもぐ咀嚼しながら、トレイに置かれたレシートを手にする。スクールバッグのファスナーを開け、取りだした長財布にそれをしまう。  柾貴にチェックを受けるため、どんな店に入ってもレシートを必ず持ち帰っている。 「適当にすり抜けるのも、慣れてるから……」 「庸介くん、きみは、ほんとうにそれでいいの……?」  綾世はひどく表情を歪めてしまっていた。  目の前に、つらい日常を強いられている少年がいる。  それなのに見て見ぬふりなんてしたくない、できない。     
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