第2章

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富里町。 父と母が生まれ育った町。見渡せば見渡すほど緑が広がる自然豊かな町。人口2千人ほどの小さい町。一言で片付けてしまうのなら『田舎』というやつだ。 どうして俺が今、そんな田舎の概略を語っているのかというと、それはもちろんこの町がこれから俺にとって大きな関係を持つ町になるからだ。 「初めまして。山田保です。よろしくお願いします」 目の前にいる20数人の人間に向かって、頭を軽く下げる。すると、まるで機械のように聞こえてくるのは疎らで乾いた拍手の音。 「はい、よろしく。それじゃあ山田はそこの席に座って」 担任の40代と思われる男性教師の声に従い、廊下側の一番前列にある席に向かう。 「よろしく」 最初に目が合った後ろの席の男子生徒に、呼吸をするかのように声をかけると、若干茶髪じみた細身の彼はにぱっと白い歯を見せて笑った。 「おーよろしく!俺、矢田輝ね」 「矢田君ね、よろしく」 「みんなからはアキラって呼ばれてる」 ふむ。友だちから下の名前で呼ばれるなんてなかなかリア充くさい男である。まあ、俺はそう呼ぶ気はさらさらないのだけど。 「嘘つけよ。呼んでるのは俺と玲だけだろ」 俺の席の右隣に座る男子生徒が言葉を続けた。短髪でややがっしりとした体格。いかにもスポーツマンっぽいイカしたメンだ。
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