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体を左にずらした俊ちゃんは、そのまま俺の左横にうつぶせに寝ころんだ。
すぐ目の前に俊ちゃんの横顔がくる。
近い・・・
「おじさんの浮気のこと?」
「・・・うん・・・」
俊ちゃんの両親はここ数か月、しょっちゅう夫婦ゲンカをしている。
理由はおじさんの浮気・・・正確に言うと「浮気疑惑」だ。
ケンカが始まったのは中学の終わり頃。
最近はかなり激しいみたいだ。
決定的な証拠があるわけではないみたいだけど、おばさんはかなりの確信を持っておじさんを問い詰めているらしい。
おばさんは俊ちゃんに似て・・・というか俊ちゃんがおばさんに似ているんだろうけど・・・気が短く思ったことはストレートに言う性格だ。
おじさんは背が高くてハンサムだから多分モテると思う。
5歳上のおばさんにしてみれば、心配で仕方がないのかもしれない。
「でも浮気したっていう証拠はないんでしょ?!・・・って、おい!シロクマ噛むな!!」
イライラすると俺が大切にしているシロクマのぬいぐるみのおなかを噛むのも俊ちゃんの小さいころからの癖だ。
「もう知らんわー!!」
俊ちゃんが泣き真似をしながら俺の首に抱きついてきた。
少しの汗臭さとシャンプーの匂いが混じった俊ちゃん独特の髪の匂いが俺の鼻をくすぐる。
「でも、うちのお父さんもおじさんが浮気なんかするわけないって言ってたよ。」
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