第八章 愛は闇よりももっと 三

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 ブランコは妙にどの建物の線にも合っていない、感覚的には、温室に対して並行になっていて欲しい。志摩の手を借りて、ブランコを移動すると、下に何か扉が出てきた。これは、ブランコの足場を固める板なのかと思っていたが、開くようになっている。 「開いてみるか……」  俺が持ち上げようとすると、志摩が先に扉を開いていた。  扉の中には、下に続く階段がある。懐中電灯を持ってゆきたいが、戻れば見つかってしまう。又、何かしたなと怒られるよりも、興味の方が勝っていた。  光ならば、俺の目にある。それを、愛刀の白光丸に移すと、電灯の代わりにしてみた。 「下に行ってみる」  梯子階段を降りてゆくと、三メートル程は降りた感じがした。志摩の手も伸びてきて、俺の横にある。このサイズの穴では、志摩の箪笥は背負って来られない。  再び扉があり、今度は通路になっていた。この通路は細いがちゃんとしたもので、家の地下室に繋がっているのかもしれない。到着した地下には、ボイラー室のようなものがあり、メンテナンスの通路だったらしい。  他にワインの貯蔵室のようなものと、ピアノを置いた部屋があった。 「ワインが入っている」     
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