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しばらく、二人でミルクティーをすすった。部屋が急に静かになった気がする。
彼女は紅茶を半分程飲んで、ふう、と息をついた。
今初めて気がついたように、きょろきょろと僕の部屋を見回す。
「・・・育ちゃんの部屋っていつもすっきりしてるのね」
「物があまりないだけだよ。十子ちゃんのとこはどうなの」
そう言えば、十子ちゃんの部屋にはあまり行った事がない。小さな頃から彼女が僕の部屋に来る事はあっても、彼女の部屋にははあまり入れさせてもらえなかった。
「きれいな時はものすごくきれい。汚い時はその逆」
「・・・ものすごく十子ちゃんらしいね」
「何、そのらしいって」
僕は慌てて話の矛先を変えた。
「で、今日は何だったっけ」
「だから有香がネットで、じゃなくて・・・、数学!そうそう、数学の宿題教えて欲しいの! 」
「はいはい」
十子ちゃんは勢いよくクッションを後ろに置くと、足元にあった自分の鞄を引き寄せた。中から数学の教科書とノートと筆記用具を出し、立ち上がって僕の机へ行き、当たり前のように座る。僕も自分のザックから数学の教科書をとり出して、当たり前のように机の脇にあるベッドに腰を下ろした。
十子ちゃんが真剣な顔で教科書を調べ始める。
「ええとね、どこか分からない所があったのよ。こういう事はね、すぐやらないと」
僕は思わずくすくす笑った。
「何よ」
「何でもないよ」
僕達はずっと昔からこうしている。これからも、ずっと変わらないだろう、と思っている。
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