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「どうやって?」
「小野田が発表する前にこっちで発表してしまおう。そうと決まったらブログ開くで」
「え、不倫を?」
「そうや。こういうのは早めに言うてまうべきやねん。いいか、今までいろいろ不倫のニュースあったな? 妙になまめかしいリケジョタレントとのイクメンキャラ押しのバンドマンとか、鬼のように当たり散らす議員と盲目のピアニストとか。あいつら全員何が間違ってたと思う?」
「そんなんわからんわ。下手な言い訳繰り返したこと?」
「ちゃうわ!スクープされたことそのものや! ばれると思ったら自分からいう。ごまかそうとしない。それがこれからの有名人の処世術や。どうせ価値観なんか多様化してんねんから犯罪以外はどんな行為も一定数支持されんねん。ただ1つ、受け身になったときに付け込まれる。それは、そこに価値観がないから。不倫したってなんだって堂々としてたらええねん。それがまま支持になんねん」
須郷は意味を理解できないようでぽかんとしていた。弱いメンタルに大きな負荷がかかっているところに、最近の沈んだ空気から急に水を得た魚のようになった私という驚きが相まって面食らっているのだろう。
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