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学生時代同じサッカー部だった私たちは意気投合。いわゆる人気者の集まりかつ親友として、校内で知らぬものはいなかった。
その後絶対的エースだった須藤はプロ入り。私は推薦で入った大学で人脈を培い小さなアプリ会社を立ち上げた。
最初は勢いがよく、売り上げもどんどん上がった。だが、結果としては失敗だ。金主が問題を起こして逮捕され、金繰りがうまくいかなくなった。
このままでは私の手元には借金しか残らない。
それに引き換え須郷はプロ入り初試合で決勝点を決めたことを皮切りにあれよあれよと代表入りし、誰もがうらやむ美人女優と許されざる恋愛の関係にある。
そのことを、世間に知らしめてやりたいと、私は思っている。これがくだらない嫉妬だとはわかっている。
私たちの関係において、嫉妬などという言葉は皆無だった。私と須郷はサッカー部に属してはいたがポジションも違ったし、
私は絶対的フォワードとして場を支配する須郷を裏から支える立場にやりがいを感じていた。
だが、それは心のどこかで対等だと思える支えがあったから成立していた関係で、ここまで私が弱体化してしまっては、もはやいびつに崩れたものに変わってしまったのだ。それが目に見えていないだけで。
私は、須郷を売る。そう覚悟を決めている。
「でも、結構まだ会ってんねやろ? というか、どこで会うん?」
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