崖っぷちのバディ

2、追い詰められて

「スタジオで合成とか、考えてくれてるのかな」
　淡い期待を口にしてみるが、蒲生がそこまでしてくれるとは思えなかった。それに、もしスタジオで撮ったとしたら、高所恐怖症を世間に曝すようなものだ。
　「東條隼人の名前に傷がついてもいいのか」と、蒲生ならきっと凄むだろう。
　台本と一緒に渡された飛び込み台の写真を見て、東條はその上に立つ自分の姿を想像してみた。
　「ムリムリ。絶対ムリ」
　力強くそう声に出すと、東條は、蒲生の電話番号をタッチした。