115人が本棚に入れています
本棚に追加
藤野はそれを心得ていて、東條を一瞬で快楽の渦に引き摺り込んだり、焦らしたりするのだった。
そうして、東條が抵抗する気力を無くした時、彼のジャージのポケットの中のスマホが振動した。
藤野は右手の指で東條を執拗に攻めながら、左手でスマホをタッチした。
「もしもし、東條さんですか」
さっき聞いたばかりの声が、スマホから流れてくる。ふたりの時間に割り込んできた声に苛立ち、藤野は目を閉じて快感に浸っている東條の口元に近づけた。
濡らしてもいない中指と薬指まで突っ込んで中を掻き回すと、東條の声のボリュームは急上昇する。
「ああああんッ‥‥ダメッ‥‥凌二ッ‥‥乱暴に‥‥するなって‥‥」
「なら、やめる?」
「バカッ‥‥早くッ‥‥挿れろよッ‥‥もう‥‥出ちまうッ‥‥」
「やっぱり、俺のでイキたいんだろ」
「ああ‥‥お前ので‥‥イキたいッ‥‥」
藤野が、自身の怒張したモノで東條の体を貫くと、彼は、「ふぅぅぅぅぅぅん」と、一段と艶っぽい声を上げた。
その声を聞かせると、藤野はスマホを耳に当てた。電話は無音のまま繋がっている。
「聞こえた? ‥‥んっ‥‥今、取り込み中‥‥んっ‥‥用があるなら‥‥んっ‥‥留守電に入れてッ‥‥」
東條の体を突きながら、相手の反応を無視してそれだけ伝えると、藤野は電話を切った。
そして、空いた両手で東條の尻を押さえつけると、逃げ場がないほど激しく腰を打ち付け続けた。その度に、東條が、喘ぎ声とも呻き声とも分からぬ声を出す。
藤野は、ただ腹の底から湧いてくる欲情のままに、腰を動かした。東條の快楽のピークを考える余裕など少しもなかった。
最初のコメントを投稿しよう!