第一章

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ジョンは自分がスーパースターでカリスマだと言うことを十分自覚しているのである。 一方ポールは意外なまでに、自分の立場、才能に対して自覚がないように思える。 「自分が、あのポール・マッカートニーであると言うことに、驚くことがある」 そんなことを、ポール自身語っている。 もっとポールには、自覚をしてほしいのだ。 20世紀最高のグループの音楽的リーダーシップをとり、そのヒット曲の大半を自分が作り上げたことを。 もしポールに天才としての自覚や、ビートルズの後継者としての自覚がもっと強くあったとしたら、ビートルズ解散後のポールの作品も違っていたかも知れない。 でもポールはあえて、ビートルズを追いかけようとはしなかった。 ビートルズの音楽を封印しようとした。 意識してか、無意識か、決してビートルズを超えようとはしなかった。 そして34年が過ぎ、見事にビートルズの音楽は「封印」されたのだ。 ポールは自分のエゴよりも「ビートルズの永遠の輝き」の方を選んだのだ。
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