ハルナとナツミ

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 夏も盛りを過ぎたある日、ハルナの彼女が死んだ。いや、殺された。 本当に突然のことだった。 犯人は有名私立大学に通う十九歳の青年で誕生日は三ヶ月後だった。 「ねぇ、もうすぐ夏も終わっちゃうよ?ほんと早いよね」  カフェの窓辺でナツミが残り少ないパフェをつつきながら名残惜しげに言う。ナツミは華奢な体つきに暗めの茶色のセミロングの髪、小さい顔に大きな瞳の可愛らしい容姿をしている。 しかし、巨大なパフェをぺろりと平らげてしまう程の大食漢だ。 「ほんとに夏が好きだね。俺は暑いのは苦手だから早く秋になってほしいよ」 テーブルを挟んで彼女の向かいに座る野暮ったい服装、黒髪の短髪でフレームの曲がったメガネをかけた男がそう返す。 彼女と男は外見的にとても不釣り合いな印象に見えた。 男の言葉にナツミは不満げな顔をする。 「なんで?お祭りに花火に楽しいことがたくさんあっていいじゃない」 「いや、そうだけど俺人混み苦手だし」 「ほんとハル君ってインドア派だよね」 ハル君と呼ばれた男の名前はハルナ。ナツミの彼氏だ。彼女とは高校の部活動で知り合った。互いに美術部でアニメや漫画が好きだったことで話が合った。ハルナから告白をしてその後交際を続けている。 今日もハルナは家でゆっくりしたかったのだが、彼女が夏の終わりの思い出にどうしても話題のパフェを食べに行きたいと言うので仕方なく都内のカフェまで出かけてきている。 「来年は私もハル君も就職して忙しくなるからこうして一緒に出かけるのが難しくなるかもしれないのに」 ハルナは現在、理系の私立大学四年生で研究所に内定をもらっている。ナツミは短大の二年生で保育士を目指している。 「そうだなぁ。休みの日は疲れてるだろうから益々出かけるのが億劫になってるだろうなぁ」 「いいよ。今日みたいに私がハル君を無理やりでも連れだすし」 ナツミは少し口を尖らせながらそう言ったが、来年の今頃もハルナと一緒に居ると宣言してくれているようで彼は嬉しかった。
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