10/11
前へ
/163ページ
次へ
 え……ええっ!? 「綾。あんま……気にすんな。妖精なんて、気まぐれな生きもんだろ? ただ単に、どっかに出かけてるだけだって」  目の前で、アップになってる、熱を帯びた琥珀色の瞳。  わ……。こんなんされて、恋に落ちない人が、いるわけないよ……。  だけど、あたしはこくんとつばを飲み込んだ。 「……ねぇ、ヨウちゃん。好きな人がいるの?」 「……は?」  ヨウちゃんの手が、あたしの髪からはなれる。 「だって、さっき。『人を好きになると痛い』って言ったじゃん」 「だから、それは一般論……」 「一般論じゃないよっ! あのね、『好きになると痛い』なんて、本気で恋をしてる人にしか言えないセリフだよっ!! 」  琥珀色の瞳をにらみつけたら、ヨウちゃん、たじたじ。  あたしから目をそらして、右を見て。ほっぺたほんのり、赤くなる。 「まぁ。……いるよ。フツウに」  ……やっぱり。  ちょっと前までは、そういうのよくわかんないって言ってたくせに。 「だれ?」
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加