78.プロポーズ

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「あはは。そんな事できないくせに。宗司くんがそんな事できないのくらい知ってるよ。…なんか前にもプロポーズされたことあるよねぇ。でも今日はなんにも酔ってないのに。酔っ払って言ってただけじゃないの、あんなの」 「うん、全然酔ってない。酔ってないけど言ってる」 「そっか。…うん、いいよ」 冬真は笑いながら、あっさり頷いた。 できもしないくせに言っている事がわかっていて、それでもこちらの気持ちをただ受け止めた。 だから尚も続ける。 「このままどこかに、一緒に逃げてよ」 「いいよ」 「何もかも全部捨てて、俺と駆け落ちして。俺も全部、捨てて来るから」 「いいよ」 「誰にも見つからない場所で、俺と二人だけでずっと一緒に暮らして」 「いいよ」 「ずっとそうやって、ばかでどうしようもない間宮でいて。俺がちゃんと幸せにするから」 「あはは、何だよそれ。失礼だろ。…でも宗司くんがそうしてほしいって言うんなら、いいよ」 「俺なんてもっとどうしようもないけど、今までみたいにぜんぶ許して、ずっとそばで笑ってて」 「…はは、いいよ」 できもしないことを、できないとわかっていてお互いに繰り返す。何度も。何度でも。できもしないけど、そうできるんだったらどんなにいいだろうと思う事。 「ずっと一緒にいたいんだ」 「いいよ。ずっと一緒にいてあげる。死ぬまでずっと、宗司くんのそばにいてあげる」     
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