3.ため息混じりのにらめっこ

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ため息まじりに耳もとで笑う。こっちは笑い事じゃない。もういっそ一気に来てくれた方が楽なのに、と恨めしく思ったところで、めりめりと音がしそうなくらいひどい感触で、内側が無理矢理に拡げられていく。最後まで入ってしまうと、宗司はなじませるように何度か腰を動かした。 「…手、噛んだらだめだよ」 歯型だらけになってしまった手の甲に、宗司の手がかばうように重なる。さっきあちこち舐められて気持ちよくなっていたはずの体は、すっかり萎えて小さくなってしまっていた。動くよ、という宗司のかすれた声に、こくこくと声も出せずに頷くと、伺うようにゆっくり動き始める。つらくて息だけで悲鳴を上げて首を仰け反らせると、天井に並んで埋まっている二つのダウンライトがまるでこちらを見下ろす目玉に見えた。ちくしょー見るなよ、僕だってなんでこんな事してるのかわかんないよ、半分はお前の家主が悪いんだからな。そんな事を考えながら、ぎりぎりと歯を食いしばる。体を無理に割かれる痛みと異物感は正直不快でしかなくて、思いっきり払いのけてしまいたい。それをどうにか我慢している。そんな事はとっくに気づいている宗司が、後ろから萎えたそれを手のひらで包み込むと、根元から先へと優しく往復する。その刺激を逃さないように必死で追いかけて、ど うにかこうにか快感の尻尾をつかまえつつあった。 「…ぁ、あー…」     
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