3.ため息混じりのにらめっこ

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そういや初めて一線を越えた時、潤滑剤の代わりにオリーブオイルを使ったとか言っていたが、あれは一体いつの油だ?げっそりしながら思い出す。油や賞味期限のあやしい調味料はいくつかあるものの、カップラーメンを除けば食材らしき食材はない上、調理器具もぎりぎりだ。料理の技量については人にえらそうに言える立場でもないが、お粥くらいならなんとかなると思ったのに。 「昔さあ、一人暮らし始めてすぐの時…先輩に一番最初に質問したのは、米一合って、どんだけですかって事だったなぁ…」 「そんなの家庭科で習っただろ、ってなんの話だよ!朦朧としながら訳のわかんない事言ってるんじゃないよ。いいよもう、黙って寝てて!」 仕方ない。コンビニかスーパーで、何か調達してこよう。そう決めて自分の上着を取ろうとした時、 「間宮~、もういいよ。大丈夫。寝てれば治るし」 布団をごそごそかぶり直しながら、そんな事を言う。 「大丈夫ってどうするんだよ。自分で買い物も行けないじゃん」 「なんとでもなるよ。だてに一人暮らししてないよ」 ひらひらと手を振って答える。 「でも僕のせいだし」 「あはは、気にしてんの。本気でお前のせいなんて思ってないよ。あんなの俺があんな格好で寝たからだし、自滅だろ。べつに気にしなくていいから、もう帰りなよ。うつらないうちに」 「…って言うけどさあ」 「コンビニだってちょっと歩いたらすぐだし」 「……」 「大人なんだから別に大丈夫だよ」 結局、その後、コンビニで買ってきたレトルト粥やらポカリスエットやらだけはどうにか押し付けたものの、押し切られる形で帰されてしまった。     
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