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何度目かのその言葉を繰り返す。
走り出した車の中、眠くならない薬を飲んできたはずなのに、うとうと意識を飛ばしかけたところで、声を掛けられた。
「瀬名さあ、結婚とかしないの?」
「…結婚?」
藪から棒な問いに、体勢を立て直しながら目をしばたく。
「いや、考えた事もなかったですが」
「彼女いるとか言ってたじゃん」
「振られました。もう結構前に」
「まあ!それは御愁傷様!」
あからさまに嬉しそうに、にやけた口元に手を当てる相手に、顔をしかめる。
「なんでそんな嬉しそうなんですか…」
「だってお前、なんかいつもこうしゅっとしててムカつくんだもん」
「……。でも、どうしてですか?急に」
「いやー、実は俺、結婚しよっかなぁと思ってて」
えへへ、と照れ臭そうに鼻を掻く相手に、なるほどと頷く。
「おめでとうございます。もう長いんでしたっけ」
「ありがとー。うん、そろそろ付き合って五、六年くらい?そんでまあ、新居っつーの?マンション買おうかなぁとか考えてんだけど」
「へえ、頑張りますね」
だろ、と踏ん反り返ってみせる。が。
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