4.愛の呪い

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「でもさあ、もう契約するって段になって超不安になってきた。現金一括で買えるわけでもなし、それなりのローン組むわけじゃん?馬車馬のように働き続けなきゃ返せないじゃん。それでいて万一離婚でもしたら、目もあてられないし」 「要するに、マリッジブルーってことですか?」 「そうかなぁ…?」 「ローンが不安なら、とりあえず賃貸でいいじゃないですか。それだったら家賃補助も出るし」 「そうなんだけど。そうなんだけどねー…ここ何年かはずっと一緒に住んでたし、その間俺もまあ、なんていうかね?彼女に迷惑掛けた事もあるわけよ」 「コンパばっかり行ってましたもんね」 「とにかく!けじめっていうのかなぁ、彼女に何かしてあげたいなと思って」 「え?」 「持ち家だったら、俺に万が一のことがあった時、残してあげられるじゃん。俺名義のローンはチャラになるし。生命保険みたいなもんかなって」 「あー…なるほど」 「…お前もマンション買えよ」 「…は?」 「道連れだよ。ローン背負ってたら、うかつに会社辞めたいとか言えないだろ。俺お前がいないと無理だよ~」 「なんでですか…ていうかさっき僕の事ムカつくとか言ったじゃないですか」 「お前優秀だもん。お前いなくなったら、同じチームの俺はほんとに過労死しちゃうよ。なー、それがいいよ。買えよ~。勤務先と源泉徴収票出したら、ぽーんと気前よく貸してくれるぜ銀行は。俺初めてこの会社勤めてて良かったと思ったもん」 「あはは」     
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