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そして、できない事はできないとわかっている。
宗司ができない事も、自分ができない事も。
どうにかならないものかと考えて、自分の望みを叶えるための方法をひとつだけ思いついた。
「それだったらね、宗司くん、僕は宗司くんに……」
思いついたまま口にしようとして、途中でやめた。
『…何?』
だって口にするまでもないのだ。
「…ううん、なんでもない」
口にするまでもなく、きっと、それはできないって宗司は言うのだろうなと思った。
それも、宗司にはできない事だ。
だからそれ以上は何も言わないまま、結局望みを叶える方法を見つけられないまま、電話の向こうに宗司の気配を感じながら黙って夜空の星を眺めていた。
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