78.プロポーズ

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こっちが何も言えなくなってしまっている事くらい気づいているだろうに、冬真は気にもしないようなふりをしてそのまま続ける。 ふりだ。そんな事くらいはわかっている。 「だって、もう宗司くんもほんとのとこ、結構限界なんじゃないの?周りからあれこれ追い立てられんのも、一人暮らしが寂しいのも。だから相手さえ現れれば、次はあっさり腹括っちゃうっていうか、早いんじゃないかなぁって気がするんだけど。今回の事で懲りちゃってる所もあるんだろうし」 「………」 追い立てられるような気持ちになったのも寂しかったのも、それを解決しようがない冬真がそばにいたからで、最初から一人だったらそんな気持ちにはならなかったと思う。それでも未来につながらない関係に懲りているというのは間違いではなくて、冬真が言う事はあながち外れていないのではないかというような気もした。 「前の彼女みたいなバリバリ働くような感じじゃなくてさ、家であったかいごはん作って待ってくれてるような子。ゆるふわ~で、やる事なす事危なっかしくて、宗司くんが横から口も手も出さずにいられないような天然ボケの可愛い女の子。それでね、結婚した一年後くらいには子供が生まれて、そのうちもう何年かしたら、またもう一人くらい生まれるのかな」     
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