1843人が本棚に入れています
本棚に追加
こんな、打てば響くように返ってくる冬真とのどうでもいいようなやり取りが、ずっと好きだった。
「宗司くんは大丈夫だよ」
冬真はいきなり言った。
「大丈夫」
言い聞かせるような口調で。
そうやってこちらに言いながら、冬真自身に言い聞かせるように。
「…そうかな」
「うん」
「………」
俺は大丈夫じゃないよって言いたくなる。
全然大丈夫だっていう気がしない。
「…間宮も大丈夫だよ」
けれどそんな風に白状するわけにもいかず、そう言ってまたちらりとだけ隣を見ると、言われた冬真はきょとんとした顔をしていた。
「だって間宮はちゃんと受け止められるだろ。相手の気持ちをちゃんと受け止められるって、もうわかってるじゃん」
冬真を好きになればなる程追い詰められて、怖くて堪らなかったのも少しも現実的でない未来をどこかで夢見たりしたのも、好きで好きで好きで仕方なかったからで、そのせいで冬真に対して散々な扱いをしてしまった自覚はあった。
それを、こちらの気持ちはちゃんとわかっていると、冬真は何も言わないままただ受け止め続けてくれていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!