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「…俺とこんな風になる前だけど、誰かとせっかくいい感じになってきても拒否するのは間宮だったじゃん。慣れてる子は嫌だとかなんとか言って。…言っとくけど間宮の恋愛対象になるような年齢の女の人たちは、もうみんなそこそこ人生経験積んで、ある程度慣れてるからな。フリーターでもいいって言ってくれる美人の処女とか、とんでもない無理難題だからな」
「はいはいわかってるよ。あー、なんで僕は男だったんだろ。せっかく宗司くんみたいなかっこよくて稼ぎが良くて、多少口うるさいのに目さえ瞑れば、なんだかんだ言いながらも甘やかしまくってくれる、旦那様にしたら最高の男が自分に夢中だというのに…」
「あはは、夢中だとか自分で言うのそれ。しかも口うるさいのは間宮のせいじゃん」
「はあー…生まれてくる性別さえ間違わなかったら人生勝ち組だったのにさあ。僕が女の子だったら、とっととゴールインして自慢の旦那様におんぶに抱っこで夢の専業主婦生活だったのになー」
ため息混じりの冬真に笑って返す。
「結婚した俺の元カノ、旦那を専業主夫にして養ってるよ」
「えっ、そうなの!?…そっかー、そういう方向性を目指すという手も」
「そっちの才能はたぶんあるもんね、お前。ヒモとかそういうのの」
「ホストでもやってみようかなー」
「童貞が何言ってるんだよ。もうほんと、お願いだから真っ当に生きようとして」
「あはは」
気楽な笑い声に、こちらは本気でため息をつく。
「俺が心配してるのはむしろこっちだよ。職の問題。どうすんのその根無し草みたいな生き方で。とうとう履歴書の一枚も書かなかったもんな」
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