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「そしたらお嫁さんにしてもらおうと思ってたのに」
「するかよ。どうせ家事もなんにもしないでしょ、間宮は。働かざる者食うべからず」
「ひどーい!僕とは遊びだってこと!?」
冬真は演技じみたせりふを吐きながら、泣き真似をして両手で顔を覆ってみせる。遊びか。だとしたら趣味が悪すぎるだろ。思って、宗司の方もわざとらしく冷たい表情を作る。
「そりゃあどうしてもって言うなら考えてあげなくもないけど。せめて自分が食べる分くらいは、働いてもらわないとねー」
「わ、なに」
手首をつかんで強めに引く。体勢を崩しかけたところで、腰に手を添えてやる。
「セクハラじじいかよ…」
言わんとするところを理解したらしい冬真が、おどおどと目をそらす。宗司にしてみれば、自分たちはおかしな関係だと何度も繰り返し思いながら、こういう反応が見たくて、手を出す事をやめられないでいる節がある。あからさまにどぎまぎした反応を返してくるのが可笑しくて、宗司は笑い出してしまいそうなのを一生懸命我慢した。
「…なに笑ってるんだよ」
「いや、ほんとにばかだよなぁと思って。間宮は」
「なんでだよ」
「ふふ、ごめん」
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