4.愛の呪い

9/11
前へ
/828ページ
次へ
「そしたらお嫁さんにしてもらおうと思ってたのに」 「するかよ。どうせ家事もなんにもしないでしょ、間宮は。働かざる者食うべからず」 「ひどーい!僕とは遊びだってこと!?」 冬真は演技じみたせりふを吐きながら、泣き真似をして両手で顔を覆ってみせる。遊びか。だとしたら趣味が悪すぎるだろ。思って、宗司の方もわざとらしく冷たい表情を作る。 「そりゃあどうしてもって言うなら考えてあげなくもないけど。せめて自分が食べる分くらいは、働いてもらわないとねー」 「わ、なに」 手首をつかんで強めに引く。体勢を崩しかけたところで、腰に手を添えてやる。 「セクハラじじいかよ…」 言わんとするところを理解したらしい冬真が、おどおどと目をそらす。宗司にしてみれば、自分たちはおかしな関係だと何度も繰り返し思いながら、こういう反応が見たくて、手を出す事をやめられないでいる節がある。あからさまにどぎまぎした反応を返してくるのが可笑しくて、宗司は笑い出してしまいそうなのを一生懸命我慢した。 「…なに笑ってるんだよ」 「いや、ほんとにばかだよなぁと思って。間宮は」 「なんでだよ」 「ふふ、ごめん」     
/828ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1840人が本棚に入れています
本棚に追加