79.バースデープレゼント(最終話)

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覚えておく。どうやって人の体を慈しむのか。 触れる場所も、順番も、強さも、宗司のやり方を全部覚えておく。いつかべつの誰かとそうする時に、きっとなぞるそのやり方を。 腕の中にある体を手のひらで辿りながら、人間の体はぜんぶ曲線なんだなと思う。 歯とか爪とかを除けば、どこもひとつも尖ったりしていない。どこもかしこもなだらかに、やさしくできている。 ぜんぶ宗司が初めて教えた事だ。 自分と宗司とを、ある日突然、何の予感もないまま、ただの友達でいられなくしてしまったこの行為。 でも最後のセックスは、最後なのに、最後までできなかった。 「……もー、宗司くんが泣くから」 「ごめん、俺かっこ悪いね。……はあー…ほんと情けない」 冬真はベッドの上で仰向けの姿勢で宗司の重みを受け止めて、宗司が顔を埋めている首すじが濡れるのを感じながら、その頭を抱きしめている。 「…間宮」 「うん」 「間宮、あのね…」 「なに?」 「………」 「…そんなに泣くくらいなら、全部言っちゃいなよ」 言いながら、背中を押してやるつもりで宗司の髪を撫でる。しばらくそうしているうちに、静まりかえった部屋の中に、まるで言葉をぽとりと落とすように、宗司が呟く。 「…好きだよ」 潤んだ声。 「うん」     
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