79.バースデープレゼント(最終話)

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「うん、わかってるよ。大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから。わかってるっていつも言ってるだろ?だから宗司くん、泣かないで」 宗司は冬真の体の上で、もう完全に泣き崩れてしまっている。 「…臆病なばっかりで、体裁ばっかり気にしてて、だから矛盾ばっかりで、覚悟もなんにもできなくて…。俺ね、自分の事が好きじゃない。全然好きじゃない。許せないんだよ」 宗司はそんな風に自分を責めた。だから冬真は首を振った。 「そんな事言わなくていいよ。体裁ばっかり気にしてるとか、そんな言い方しなくていいよ。普通じゃないって、きっとそんな簡単な事じゃないじゃん。二人きりで生きてけるわけじゃないだろ。たくさんの人の中で生きていかなきゃいけないんだもん。それに普通に女の子を好きになれる僕らがいろんな事諦めてずっと二人でいるなんて、どう考えたってベストじゃない。だからできなくたって、そんなのあたりまえだよ。できないからって、宗司くんが僕に向けてくれたものが嘘だなんて、そんな事は全然思わないよ」 背中を撫でてやる手を止めないまま言い聞かせるように言えば、宗司はそれでも微かに左右に首を振る。だから続けた。     
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